清掃工場の焼却灰(茨城)

焼却灰から8,000Bq/kgを超える放射性セシウムが検出された清掃工場一覧 (関東地方24施設)

(※清掃工場は数が膨大なため、8,000Bq/kg超(指定廃棄物扱いになり、厳重な保管が要求される)の測定値を出した施設に限定した)
(※施設名・所在地の後に記載されている(2011.○.○ x,xxxBq/kg)は、その施設の焼却灰から検出された放射性セシウム(134・137の合計)の最高値,16都県の一般廃棄物焼却施設における焼却灰の放射性セシウム濃度測定結果一覧から引用)

茨城県(10施設)

市町村 施設名 保管量(t) 保管場所
日立市 日立市清掃センター 1,260.2 屋内
守谷市 常総地方広域市町村圏事務組合 611.0 屋内+屋外(遮水シート有り)
龍ヶ崎市 龍ケ崎地方塵芥処理組合 181.5 屋内
阿見町 霞クリーンセンター 159.4 屋内
ひたちなか市 那珂湊清掃センター 152.0 屋内
小美玉市 茨城美野里環境組合 16.0 屋内
  • この他に、指定廃棄物の指定を受けていない8,000Bq/kg以上の焼却灰が計79.4トンあり、以下の3ヶ所で保管されている(2013年11月末時点)
市町村 施設名 保管量(t) 保管場所
北茨城市 北茨城市清掃センター 45.0 屋外(遮水シート有り)
かすみがうら市 新治地方広域事務組合 34.1 屋内
鹿嶋市 民間処理業者 0.3 屋外(遮水シート有り)

汚染灰の仮保管「限界」と自治体 ごみ処理継続に危ぐ
茨城新聞 2011年9月20日
ごみ処理施設の焼却灰から国の暫定基準値を超える放射性セシウムが検出され、施設内に一時保管している自治体から「限界」と悲鳴が上がっている。県内9施設の保管量は計約824トン(茨城新聞社調べ)。環境省は8月、セメントで固化するなどの埋め立て方針をまとめたが、「国は現場を知らな過ぎる」との声が相次ぎ、処分は進んでいない。増え続ける汚染焼却灰に、一般ごみの処理継続を危ぶむ声も出始めた。
■近づく満杯
守谷市野木崎の常総環境センターは7月、飛灰(ひばい)から国の基準値(1キログラム当たり8千ベクレル)を超える3万1千ベクレルのセシウムを検出。国の方針に従って、毎日4トンも出る灰を最終処分場に搬出するのを中止した。
をドラム缶(約200キログラム)に密封し関連施設の車庫に保管してきたが、約800本を積み上げて8月末に車庫は満杯。やむを得ず整地した約550平方メートルに仮置きしている。
ドラム缶は12日現在で約990本。数値は8月に1万7400ベクレルに下がったが、管理する常総地方広域市町村圏事務組合は「今のペースだと、11月中旬には置き場の再拡張が必要」と頭を痛める。
■国は通知1枚
環境省は8月31日、セシウム濃度が1キログラム当たり8千〜10万ベクレルの灰について、埋め立て処分の方針をまとめた。
灰をセメントで均一に混合して固形化。地下水への流出を防ぐため、遮水シートを敷いて厚さ50センチの土壌の上に埋め、(1)上下側面を粘土などの隔離層で囲う(2)灰を耐久性のある容器に入れる(3)処分場に屋根を設ける-のいずれかの措置を講じるべき、とした。
放射性物質が付着した焼却灰の処理は自治体にとって初の経験。「セメントで均一に混合、固化する方法は」「誰が高額な処理費を負担するのか」などの疑問の声が上がった。
ある自治体の担当者は「環境省は通知1枚で説明会もなし。この方針で、われ先に動く自治体はない。ごみ処理の現場を知らな過ぎる」と、自治体任せの国を批判した。
■「持って帰って」
小美玉市堅倉の茨城美野里環境組合クリーンセンターは7月、飛灰から1万2千ベクレルを検出。8月の再測定で基準値を下回った。しかし、契約する県外の民間最終処分場が難色を示し、7月末以降、全ての飛灰約43トンを搬出できずにいる。
基準値超は当初の約7トンだけで、それ以外は問題ない水準。それでも先方自治体が「観光に響く」と、搬入の同意が得られないという。
同センターは「ごみを燃やせば、灰は必ず出る。たまり続ければ操業に影響する」と今後を不安視する。
守谷市議会は16日、「現状が続けば、ごみ処理が継続できなくなる」として、国の責任で飛灰の最終処分場の確保を求める意見書を可決した。
豊田稔北茨城市長は8月25日、県庁を訪れた東京電力の西沢俊夫社長に飛灰を詰めたビニール袋を突き出し、「持って帰って」と怒りをぶちまけた。

県内の指定廃棄物 事態打開へ分散保管 長引く仮置き、住民不安
茨城新聞 2015年5月17日
県内で発生した「指定廃棄物」の処分問題が曲がり角を迎えている。廃棄物を保管する14市町長は、国が計画する県内1カ所への処分場建設は住民の合意形成が困難と主張し、長引く問題の打開策として現状のまま分散保管を継続する方向で意見がほぼ一致した。しかし、分散保管に関する細かな基準は決まっておらず、環境省も検討を始めたばかり。保管施設の安全性に不安を残す仮置き状態は当面続きそうだ。
■安全性を懸念
守谷市野木崎のごみ処理施設「常総環境センター」。隣接する温浴施設の利用者らが行き交う道路のすぐ脇に、高さ3メートルの鉄板で囲われた指定廃棄物保管施設はある。
二重の鉄板の間には遮蔽(しゃへい)材として土のうが重ねられているが、施設は一部を除き屋根がない。611トンの指定廃棄物はドラム缶2773本に詰め、遮光シートをかぶせた上でワイヤーで固定している。
管理する常総地方広域市町村圏事務組合の担当者は「自然災害などのリスクもある。長く保管することになれば、もっとしっかりした施設が必要だ」と指摘する。
■相次ぐ批判
「まだ議論が足りないのか」「あまりにもスピード感がない」
4月6日。環境省が14市町長を対象に水戸市内で開いた会議。出席した首長からは、分散保管を容認するのかどうか態度を明確にしない同省に批判が相次いだ。
会議では全44市町村長が集まった前回1月の会合と同様、分散保管の意見が大勢を占め、1カ所集約を求める意見は出なかった。
首長らの関心は既に、分散保管を前提とする施設の強化策や風評被害対策、住民の理解促進などに移りつつある。
同省は分散保管の選択肢を否定していないが、福山守環境大臣政務官は「いったん預かり、実現可能性を精査して検討したい」と述べるにとどめ、結論を先送りした。事故から4年がたっても処分の道筋が見えない状況に、首長側からは「住民を置き去りにした会議だ」と国に対する反感が強まった。
■迫る保管期限
各首長の意向が分散保管に傾く中、仮置き場所の「処分地化」を懸念する住民もいる。
龍ケ崎市と利根町、河内町でつくる龍ケ崎地方塵芥(じんかい)処理組合は、同市板橋町のごみ処理施設「くりーんプラザ・龍」で約181・5トンを保管する。
だが、保管できるのは11月1日まで。周辺住民でつくる「板橋地区環境整備委員会」との間で3年前に結んだ協定の期限が切れるためだ。仮置きを延長するには再び住民の理解を得なければならない。
このため、同市の中山一生市長は4月の首長会議で「住民には『国の責任で処理するまでの一時保管』と約束してきた。分散保管には賛成しかねるが、他市に押し付けることもできない。分散保管は苦渋の選択だ」と強調、国が前面に立って住民への説明責任を果たすよう強く求めた。
ごみ処理施設には最終処分場も併設されており、同委員会の男性は「濃度が下がったから埋め立てると言っても、地下水汚染の心配は消えない」と処分地化を警戒する。3市町の広域事業である点を踏まえ「分散型にするなら廃棄物を3市町で案分するのも一つの手段だ」と訴える。
★指定廃棄物
東京電力福島第1原発事故の影響で汚染された、放射性物質濃度が1キログラム当たり8千ベクレルを超える廃棄物。ごみを焼却した際に発生し集じん装置などに付いたばいじんを指す飛灰や、燃え殻の焼却灰、下水処理施設で出た汚泥、稲わらなど。2014年12月末現在で県内に3533トンある。国は茨城と宮城、栃木、群馬、千葉の5県に処分場を建設する方針。12年9月にいったん高萩市内を候補地に選定したが、地元の猛反発で白紙となった。
県内の1キロ当たり8000ベクレル超の廃棄物保管量(環境省調べ).jpg

日立市清掃センター(エコクリーンかみね,日立市宮田町3414-4)参照(2011.8.17 17,300 Bq/kg 飛灰)※

※ストーカー式焼却炉:100トン/1日×3基(300トン/1日),水冷傾動電気(プラズマ)式溶融炉:20トン/1日×2基(40トン/1日)

日立市清掃センター・焼却飛灰の放射能濃度の推移.gif(※日立市清掃センターの飛灰の放射能濃度(Bq/kg)の推移)

常総環境センター(守谷市野木崎5020)参照(2011.7.11 31,000Bq/kg 飛灰)※

※常総市の水海道地区、取手市、つくばみらい市、守谷市のごみを処理
※1990年3月竣工 全連続燃焼式機械炉(川崎-反転・サン形ストーカ式):117トン/1日×3基(351トン/1日)参照だったが、現在は、2012年7月竣工 キルン式ガス化溶融炉:86トン/1日×3基(258トン/1日)参照

広報もりや 2011.10.10号_cut.png広報もりや 2011.12.25号_cut.png
(※左は「広報もりや 2011.10.10号」記事、右は「広報もりや 2011.12.25号」記事,オリジナルデータはこちら参照参照

セシウム汚染灰の保管場所拡張 守谷のごみ処理場
茨城新聞 2011年12月30日
守谷市野木崎にある常総地方広域市町村圏事務組合(管理者・会田真一守谷市長)のごみ処理施設「常総環境センター」は、暫定基準値超えで搬出できない固化灰の保管場所が12月中に満杯となるため、さらに約900平方メートル分を拡張した。同センターは「来年3月まで対応できる。新たな固化灰の放射能濃度も低下傾向にあり、基準値内に収まれば、処分場への搬出が可能で、懸念された焼却中止も回避できる」と話している。
7月中旬、ごみ焼却時に発生する排ガスの中のすすを集めて固化した固化灰(飛灰)の放射能濃度を測定した結果、1キロ当たり3万1000ベクレルの放射性セシウムを検出。暫定基準値8000ベクレルを超えたため、同センターは、毎日約3トン(ドラム缶で15本)排出される固化灰の最終処分場への搬出を止め、敷地内での保管を始めた。
組合関連施設の旧バス車庫を鉄板で囲み、放射線量低減化を図った保菅場所に、ドラム缶約800本を積み上げて8月末には満杯。
やむを得ず、野積み用に地続きの敷地約550平方メートルを整備した。その後も、集積の勢いは衰えず、26日現在、ドラム缶の総数は2666本に上っている。
14日に測定した固化灰の放射能濃度は、1キロあたり9910ベクレルに低下。草木や枯れ葉を含む土の大量搬入抑制などが原因とみられ、「基準値内」も視野に入ったが、予断を許さない。年明けにも、センターや広域圏自治体の広報などを通して、市民に一層のごみ減量を呼び掛けるという。
しかし、新たな固化灰が暫定基準値を下回っても、これまで保管している灰の処分先は不透明。同センターは「国や東電は、一日も早く処分場所を確保すべき」と話している。

セシュウム汚染灰 満杯 常総環境センター保管794トンに 
朝日新聞 2012年3月2日 茨城首都圏版
隣接する守谷、取手、常総、つくばみらい各市の家庭ごみを焼却している守谷市の常総環境センターが、放射性セシウムで汚染された「飛灰(ひはい)」の置き場に困っている。東京電力福島第一原発事故の影響で、昨夏から屋内に保管。昨年暮れには屋外に保管場所を増設したが、今月末にはほぼ満杯になる見込みだ。最悪の場合は、4市のゴミ収集事業に支障を来すおそれもある。
飛灰は焼却排ガスに含まれる煤塵(ばいじん)。センターは昨年7月15日、飛灰の放射性セシウム濃度が国の埋め立て基準(1キロあたり8千ベクレル以下)を上回る3万1千ベクレルと発表し、敷地内での保管を始めた。
その後、セシウムの濃度は1万台で推移。保管場所を900平方メートルほどの広さで屋外に増設した後の1~2月は、5千~7千台に減っている。
しかし、飛灰の受け入れ先になっていた県内の最終処分場が、国の基準を大幅に下回る飛灰しか受け入れない考えを示したため、運び出すめどは依然として立たないままだ。保管量は2月27日現在で794トンに達している。
センターを運営する常総地方広域市町村圏事務組合は「廃棄物処理法上、施設内に埋め立てることはできない。飛灰の置き方も工夫しているが、それも今月末が限界。効果的な対応策がなく、最悪の場合はごみを焼却できなくなる」と話している。

龍ヶ崎地方塵芥処理組合・くりーんプラザ・龍(龍ヶ崎市板橋町436-2)参照(2011.7.11 19,300Bq/kg 飛灰)※

※龍ヶ崎市、河内町、利根町のごみを処理
※全連続型ストーカ式焼却炉:90トン/1日×2基(180トン/1日),表面回転溶融炉:12トン/1日×2基(24トン/1日)

  • 2012.11.7に開催された「平成24年度第1回龍ケ崎市環境審議会」で、同市環境対策課の職員が「8,000ベクレルを超える焼却灰約181.5トンについては、フレコンバッグに入れ、くりーんプラザ・龍の倉庫内で厳重に保管している」等と述べている
  • 龍ヶ崎市の広報「りゅうほー 2014年6月後半号」に、「原発事故後に、くりーんプラザ・龍ダストの固化物から放射性セシウムが検出されたため、2011年7月から最終処分場への埋立てを中止し、建物内で一時保管していたが、2012年11月から埋立てを再開した」旨の記載がある(注:くりーんプラザ・龍には、最終処分場が併設されている)

阿見町霞クリーンセンター(稲敷郡阿見町追原2731-2)参照(2011.7.11 16,200Bq/kg 飛灰)※

※准連続焼却式焼却炉:42トン/16h×2基(84トン/1日)

  • 「平成24年5月15日 阿見町放射能対策方針(第2回改訂版)」に、「主灰については,8,000Bq/kgの基準値を超える放射性物質は検出されていないため、最終処分場であるさくらクリーンセンターに埋め立て処分としている」等の記載がある
  • 2014.3.6に開催された「平成26年第1回阿見町議会定例会予算特別委員会」で、同町廃棄物対策課長・野口恭男が「8,000ベクレルを超える焼却灰約160トン(180袋)が、霞クリーンセンターのシャッター倉庫に保管されている」等と述べている

ひたちなか市勝田清掃センター(ひたちなか市馬渡2184-1)(2011.7.11 15,900Bq/kg 飛灰)(閉鎖)※

※准連続運転ストーカ式炉:60トン/1日×1基&150トン/1日(2基)(210トン/1日)

ひたちなか市那珂湊清掃センター(ひたちなか市新堤10812)(2011.7.11 13,800Bq/kg 飛灰)(閉鎖)※

※准連続運転ストーカ式炉:105トン/1日(2基)


  • 2012.6.23に前渡公民館で開催された「平成24年度市政懇談会」の実施記録調書に、「昨年7月と9月に旧清掃センターで発生した8,000Bq/kgを超えてしまった焼却灰約152tについては、法律では国が処理することとされており、国が引き取るまでの間、閉鎖した那珂湊清掃センター内に雨風のあたらないように保管施設を建設しまして、保管しております」の記載がある

茨城美野里環境組合・クリーンセンター(小美玉市堅倉1725-2)(2011.7.14 12,000Bq/kg 飛灰)※

※茨城町、小美玉市の美野里地区のごみを処理
※准連続運転ストーカ式炉:105トン/1日(2基)

北茨城市清掃センター(北茨城市関本町関本中2047)参照(2011.7.11 10,400Bq/kg 飛灰)※

※准連続運転ストーカ式炉:90トン/1日×2基(180トン/1日)

新治地方広域事務組合・環境クリーンセンター(かすみがうら市上佐谷31-1)(2011.7.14 10,000Bq/kg 飛灰)※

※かすみがうら市、石岡市の八郷地区、土浦市の新治地区のごみを処理
※准連続運転ストーカ式炉:120トン/1日(2基)

土浦市清掃センター(土浦市中村西根1811-1)参照参照(2011.6.27 12,700Bq/kg 飛灰)※

※同清掃センターの測定値については、土浦市独自の焼却灰等の放射線濃度測定結果から引用した(16都県の一般廃棄物焼却施設における焼却灰の放射性セシウム濃度測定結果一覧に掲載されている同清掃センターの最高値は、2011.7.11の12,100Bq/kg(飛灰))
※全連続運転ストーカ式炉:70トン/1日×3基(210トン/1日)

  • 最終更新:2015-12-30 20:29:47

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